多次元正規分布の周辺分布と条件付分布を計算する
多次元正規分布の周辺分布と条件付分布を計算する
多次元正規分布の周辺分布と条件付分布もまた正規分布になる. そのときのパラメータ(平均,分散)を導出する.
D次元正規分布に従う確率変数ベクトルを$\vec{x}$, 平均ベクトルを$\vec{\mu}$, 共分散行列を とおいて 確率密度関数を以下のようにおく.
参考:
Udemyの「ベイズ推定とグラフィカルモデル:コンピュータビジョン基礎1 39. Marginal and conditional of Normal 正規分布の周辺分布と条件付分布」
テキスト:"Computer vision: models, learning and inference" by Simon Prince, 5.6 Product of two normals, p.76
周辺分布の導出
2次元の場合
参考:http://www.ae.keio.ac.jp/lab/soc/takeuchi/lectures/1_Norm.pdf
以下の2次元正規分布を考える.
この同時分布の式変形を考える.
式変形には,共分散行列の対角化を考える. 以下の行列を定義する.
これを両側からかけて共分散行列の対角化をしていく.
平均との差のベクトルが$E$で変換されると
(ちなみに, は,$x_{2}$を$x_{1}$で表した回帰直線の回帰係数より,$x_{2}$から$x_{1}$のもつ回帰成分を取り除いている.)
よって,expの中身は,
expを2つに分けることができる.
ここで,同時分布の係数に出てくる行列式を変形すると
これで2つの正規分布に分けることができる.
よって,
$x_{2}$で周辺化すると
$x{1}$で周辺化する場合も同様に,積の形に変形することができ, 多次元正規分布を$N(x{2}|\mu{2}, \sigma{2}^{2})$が残るように分解する.
$x_{1}$で周辺化する.
多次元の場合
多次元の場合も同様に変形できる.
D次元の$変数ベクトル\vec{x}$をp個とq個の2つに分ける. $p+q = D$
この時の多次元正規分布を考える.
共分散行列は以下のブロック行列とおく.
対称行列より,
密度関数を以下とする.
2次元の時同様に,共分散行列の対角化を考える.
対角化のために以下の行列を考える.
共分散行列の両側から$E^{T}(E^{T})^{-1} = E^{-1}E = \mathbf{I}$かけて対角化していく.
これを両側からかけて共分散行列の対角化をしていく.
平均との差ベクトルのEでの行列変換を考える.
よって,expの中身は,
expを2つに分けることができる
これで2つの正規分布に分けることができる.
よって,
$\vec{x}_{q}$で周辺化すると
同様にして,多次元正規分布を が残るように分解する.
$\vec{x}_{p}$で周辺化する.
条件付分布の導出
周辺化する際,同時分布を積の形に変形した. 同時分布は,条件付分布とその条件になっている分布との積で以下の式で表される.
$$ Pr( x_{1}, x_{2} ) = Pr(x_{2} | x_{1}) \cdot Pr(x_{1}) $$
つまり,周辺化の際に出てきたもう1つの分布が条件付分布になっている.
2次元の場合
周辺化の式変形より,同時分布は以下の積に変形できる.
確率の乗法定理より,条件付確率は同時確率をつかって書ける. 固定値$x_{1o}$として
条件を逆にしても同様に求めることができる. $x_{2o}$を固定値として
多次元の場合
同様に,多次元正規分布も積の形に変形できる
条件を逆にしても同様に求めることができる.